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V6の「雨」を視聴してチャットモンチーの完結と三浦大知の球体を思い出した

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 V6の最後のアルバム『STEP』に収録される曲"雨"のMVが投稿された。

 今年の11月1日に解散することが発表されたV6にとって、この『STEP』は最後のオリジナルアルバムになる。そしてその一曲目を飾り、特典映像に収録される唯一ののMVがこの”雨”である。

 

 観てもらえば分かるが、アイドルとしてのV6ではなく、26年活動してきた6人がそれぞれ「表現者」としてMV上で動いている。

 このMVをV6について何も知らない人が観て、「彼らは何の集団だと思いますか?」と訊いた時、「アイドル」と答えられる人はほぼいないだろう。

 彼らはもう「アイドル」という枠にいるにはもったいない人たちなのだ。

 

 ふとチャットモンチーの完結を思い出した。解散ではなく"完結"。チャットモンチーの選んだ"完結"は、今の自分たちがチャットモンチーというロックバンドのイメージから羽ばたくための選択だった。

 彼女たちも「チャットモンチーとしてはやり切った」と語り、今は個々の活動をしている。

 V6もそうなのではないだろうか。シングル「Can't Get Enough」以後、シングル曲の両A面のうち一曲はアイドルらしくない攻めた楽曲が度々収録された。

Can't Get Enough(2017)

KEEP GOING(2018)

Right Now(2019)

All For You(2019)

PINEAPPLE(2020)

 

 一方で彼らの所属する事務所は原点回帰するように「アイドルらしさ」を各グループに求め始めたように思う。わかりやすい、明るい、ポップな、仲よさげな、そんな曲を求めているように思う。結果V6の活動は事務所の意向の真逆を行っているように思う。

 そこで衝突した…と言いたいわけではない。事務所のイメージする「アイドルらしさ」をV6に求めるには扱いきれないほどV6が職人になったのだ。もしかしたらV6の解散も、チャットモンチー同様V6という形からの"完結"なのかもしれない。

 

 MV。

26年目のV6、最新映像は「感情の放出」をテーマにした衝撃作!

メンバーと監督、スタッフ、s**t kingz、が打ち合わせを重ね
1人1人のシチュエーションや表情、6人揃った時の感情表現に徹底的にこだわった作品。

ボロボロで、何かに傷ついた男が6人。
ひとりずつ、ギリギリな状態でどこかに向かっている。
6人が集まって溜めていた感情が放出、浄化されていく。

(中略)

デビューから26年経っても、攻め続けるV6の最新のMusic Videoをぜひご覧いただきたい。

YouTube 動画説明欄より

 

 森田剛のアップから始まり、三宅、岡田と続く。Comming Century(以下カミセン)としてキラキラした曲を歌った彼らも40を超え、渋さを醸し出す表現者となった。このMVでは20th Century(以下トニセン)の坂本、長野、井ノ原よりもカミセン三人が印象に残る。トニセンがまだ活動する可能性を考え、カミセンの映像を残すためなのか、デビュー当時のカミセンとトニセンのバランスをほのかに匂わせたのか、自分の見方が偏っているのか…どれかわからないがとにかくカミセン3人の表現が強く印象に残った。

 最後に6人が揃い、踊る。個々の踊りはバラバラだがどこか統一性を感じる。25周年を記念して行われた配信ライブ『For the 25th anniversary』で"TL"のインストをバックに踊る彼らと重なった(関連記事)。

 何度も言うが、ダンサブルでもなく、一緒に真似するようなポップな踊りでもない。哀しみ、痛み、先にある未来、その前に必ずある現実を表現する"表現者"としての6人の踊りである。

 ダンスを超えた表現者としての6人は三浦大知の独演「球体」を連想させた。

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 三浦大知のファンにとっても異色の作品だった『球体』。ただただ圧倒された。直接的な表現はなく、しかし強いメッセージを投げかける「球体」と、このV6の「雨」は近いものに感じた。

 

 

 

 泣いても笑ってもV6は解散する。AKBなどのグループと異なりこの事務所から離れてまた同じグループとして活動することは現状ないといえるだろう。

 V6として最後の日となる11月1日のライブが配信されることが決まった。現場に行く人も、配信で観る人も、しっかりと目に焼き付けておきたい。

 

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