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作品添加物 ー『Spica』のリリックビデオで思い出したことー

 他者による楽曲の自己解釈を見るのが苦手だ。

 決してそれが悪いわけではないのだが、自己解釈する前にそれを見てしまうとバカな自分はすぐ鵜呑みにしてしまい、自分なりの解釈にたどり着くのが遅れてしまうのだ。

 

 

 BUMP OF CHICKENの楽曲に『記念撮影』という曲がある。この曲はMVが存在するのだが、それが投稿される4か月前に「リリックビデオ」が投稿された。

 

BUMP OF CHICKEN『記念撮影』リリックビデオ(2017.07.04 投稿)

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BUMP OF CHICKEN『記念撮影』ミュージックビデオ(2017.11.21 投稿)

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 MVの投稿が遅くなったのはPFツアーの映像を使うための可能性が高いが、わざわざ『記念撮影』で初めてリリックビデオという試みをしたのは、PFツアーでこの曲を聴いた時に歌詞をしっかり受け取ってほしかったのではないかと思った。

 

 リリックビデオとはMVとは異なり、歌詞を重点においており、アーティストによっては本当に歌詞のみの映像となっている。

(下は参考映像として挙げた『じょじょ/サンフジンズ』のリリックビデオ)

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 MVは楽曲を「映像」という観点から入ってもらうために作られたものと思っているが、中には映像が楽曲を呑み込んでしまい、本来メインとなるはずの楽曲がBGMとなってしまうこともある。

 結果、ある曲を聴いた時に頭の中の大部分を「あのMVの曲」で占めてしまうということになってしまい、楽曲を考察することが難しくなってしまう。

 もちろん、それを成功ととるアーティストだっているだろうが、楽曲の、特に歌詞のメッセージを受け取ろうとする場合、MVがそれを邪魔してしまう可能性があるのだ。

 

 BUMPのファンの場合、歌詞が好きな人は少なくない。その人が楽曲を聴いた時に自分の中で考察しようとすると『あれっ、そういえば歌詞ってどんなだっけ』となる場合、楽曲を引き立てるためにあったはずのMVや他者による解説などが自分の中で「歌詞」という情報を抑えてしまうのだ。

 

 BUMPは最新シングルに収録される『Spica』で再びリリックビデオを投稿した。はたしてこれはMVが完成するより前に曲を聴いてもらうためだけなのか。少し気になるところである。

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