発泡スチロールの箱。
鮮魚などを氷と共に入れるそんな箱は密閉性に優れ、尚且つ水に入れれば浮くような軽さが売りである。
その実績を信頼し、大学の時はその箱の中に大事なものを入れていた。
大学の時に暮らした部屋は南海トラフが起こると凄まじい高さの高浪に襲われる地域の海沿いにあった。
『こいつに入れていたら涙にさらわれても大丈夫だろう』ということである。
大学を卒業し、社会人になったことで引っ越した新しい家にもこの箱は当然やって来た。
社会人になってから一年、気づけばその箱は引っ越した時の『ワレモノ』と書かれた養生テープで閉じられたままだった。
開けてしまえ。
思った僕はテープを剥がし、中身を全て取り出し、発泡スチロールの箱はバリバリちぎるように壊し、ゴミ袋の1/4を埋め尽くす残骸となった。
一年以上ぶりの『大事なもの』たちとのご対面。
ラジオの企画に応募して選ばれた時に書いてもらった有名ラジオDJのサイン色紙、
好きなアーティストのイベントでゲットしたプレミアグッズ、
完全生産限定盤だったFAB BOX(フジファブリック)の2014年復刻版、
ここまではまだわかる。問題はここからである。
恋の神様(古味直志)
詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。(古舘春一)
クロス・マネジ(KAITO)
親愛なる殺し屋様(辺天使)
全巻帯付きのマンガ、それも初版である。大事とはいえここに入れとくかね。漫画は読むものだぞ。紙だから水に弱いからか。そういうことか。にしても。
今や少しでも気になった漫画は初版で全部買える。大人になったからこそである。子供の時は新品で本を買うことがどれだけ大きなことだったのかを感じる。
美談になったのかなってないのか。とりあえず久々にこれらを読んでみよう。