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死と怒り

 本日、ヒトリエ公式HPからの発表で、ヒトリエでボーカルを務め、またボカロPとしても活動していたwowakaさんが4月5日に亡くなられたことが伝えられました。

 お悔やみ申し上げます。

 

 

 

 

 wowakaさんの死を知り、様々な感情が出てきました。いまからその感情を、粗削りではありますがほぼ全て書かせていただきます。

 

 

 

 まず大前提として私自身のボカロ経歴をまとめさせていただく。これから話をする人間はこの程度の人間だと理解したうえで本文を読んで欲しい。

 

 ボカロをちゃんと聴き始めたのは初音ミクの誕生10周年が盛り上がってしばらくした2017年9月中旬だ。米津玄師としての音楽活動でボカロに関心のない人々にも知名度が広がっていったボカロPハチが投稿した『砂の惑星』を聞こうとするまでボカロは聴かず嫌いだった。「なぜ自分自身の声で歌わないのか。」聴かない理由はそれだけだった。『砂の惑星』が投稿され、「これをきっかけに聞いてみようか」と思い、初めてしっかりとボーカロイドの楽曲を聞いてみた。結果、やはりボーカロイドは好きになれない気がするという結果に至った。

 しかしその後、大学の同級生に見せられた『ニコニコ超パーティー2015 VOCALOIDライブ』*1で、メドレー好きな自分は衝撃を受けた。そこから2012~2016のライブ映像と、もうひとつ、snowさんによる『初メテノ音』『初メテノ音 アペンド』でより様々なボカロ曲を聴き、そのうちハマっていって今に至る。

 

 続いてwowakaさん。wowakaさんの楽曲とはボカロにハマるより前に出会っている。オンレイさんによる『裏表RADWIMPS*2』である。しかし当時はバックでかかっているとはいえボカロ。すぐに聞かなくなりました。

 その後、ボカロを聴き始め、代表曲「ローリンガール」、2013年超パライブにて披露された『ワールズエンドダンスホール』、『初めての音 アペンド』などに収録された「裏表ラバーズ」、初音ミク10周年時に投稿され、ウサナーさんがマッシュアップに使用した「アンノウン・マザーグース」など、代表曲のほんの一握りしか知らない。ヒトリエとしてのwowakaさんはこのあと書く。

 

 

ここからが本文。

 

 

 訃報を聞いてから、意外と最近wowakaさんの作品を聴き始めていたことに気が付いた。といっても派生作品だらけだが。

さつきがてんこもり さんによる「「すごい歌見つけたww」と「ローリンガール」混ぜてみた」、

それを鋼兵さんが歌った「【鋼兵】すごいローリンガール歌ったwwwww」、

それをなぜか混ぜてしまった合唱「【大盛り合唱】ローリンガール【すごい合唱作ったwwww】」。

あと、ウサナーさんが初音ミク10周年に投稿した「【マッシュアップ】ヒバナ×アンノウン・マザーグース【初音ミク】」をきっかけに、

原曲「wowaka『アンノウン・マザーグース』feat. 初音ミク」、

そしてヒトリエ、つまりwowaka本人の歌唱による「ヒトリエ 『アンノウン・マザーグース 2018.3.25 LIVE at EX THEATER ROPPONGI』

と、wowakaさん関連の動画を点々とだが見ていた。

 

 ヒトリエに興味を持ったのはつい先月のことだ。Twitterのフォロワーにヒトリエを紹介されたもののずっと聴いてなかったのに、そのきっかけは突然生まれた。

 さっきの人とはまた別のフォロワーに関西ローカルの番組の録画を頼まれた。その方がフジファブリックが好きで、フジファブリックが出るのに自分の地域では見ることも録画することもできないからだ。代わりに録画し、再生チェックで番組を見た。そのとき特集されていたのが下の曲だった。

www.youtube.com

 最近は音楽番組も見ず、新しい音楽に出会う回数も極端に減った。自分が惹かれる曲となったらなおさらである。そんな中、この曲は興味を引かれた。それがきっかけで過去の曲も・・・とはならなかったが、この曲はたまに聴く程度にハマっていた。

 

 そしてこれである。

 俺はこれから曲を聴くことになった場合、そのきっかけはあなたの死で一括りされるのか。ふざけるな。「テレビで聴いたSLEEPWALKがきっかけで」といくら言ったってもう世の中はそうならない。『SLEEPWALK』の良さを純粋に語ることはもう出来なくなった。自分が純粋に語っても周りはそう判断してくれない。それが今の世の中だ。

 

 悲しいがもはや現代において『死』は一種のコンテンツだ。wowakaさんの死をきっかけに動画には「ご冥福をお祈りいたします」という定型文が流れ、同人CDはプレミア化し、生前のボツテイクや未完成の曲は「ファンのため」という理由で発売・投稿される。もう知ってるんだ。ビートルズが、忌野清志郎が、志村正彦が、samfreeが、椎名もたがそうだった。チャットモンチーだってそうだった。完結のときTwitterには『風吹けば恋』『シャングリラ』程度の知識しか持っていない人々がわずかな知識で完結の理由を述べていた。そういう世の中なのだ。現にこう書いている自分だって結局は「wowakaさんの死をきっかけに意見を述べる人たち」の一人となっている。

 「死人に口なし」。わかりやすい。昨年鬱になってから度々「遺書書かなきゃな」と思う。いつ死んでもおかしくない中、500ほどあるCDは勝手に売られるのだろうか。遺産で家族はもめるのだろうか。骨はどうなるのだろうか。意見を述べないまま突然死ぬとこうなるのだ。

 

 ここまで書いて、wowakaさんの死に対して一番起こっている感情は喜怒哀楽だと「怒」ではないだろうか。知識や心のない人たちへの怒り、wowakaさんへのクレームにも似た怒り、いった内容がすべて自分に返ってくる怒り。あなたの死は怒りの起爆剤となったのだ。

 スティーブ・ジョブズはこう述べたらしい。「死とはあなたにとって最後のプレゼントである」と。ライブは中止になり、動画はお悔やみの言葉で埋め尽くされ、死後ようやく評価が視覚化される。wowakaさんにとってこれはプレゼントか?

 

 すごくズタズタな文だが、いまの感情をできるだけそのまま書いた。薄っぺらい内容だと思ったならこれは薄っぺらい文章である。読み手のあなたが時間を無駄にしたと思ったなら申し訳ない。

 

 

 最後に、wowakaさん。

 俺はこれからも「たまに」あなたの曲を聴く。聴きたくなった時聴き、他の曲が知りたくなった時はじめて他の曲を探す。あなたが死ななかったときと同じように。それが俺があなたにできる自分なりの『やさしさ』だ。これが嫌だろうが知ったことじゃない。嫌なら早くそっちへ連れてけ。俺はこれからの人生も「普通に」生きてやる。

 この文章に込めた思いも込めきれなかった思いもすべて重ね、お悔やみを申し上げます。

*1:

www.youtube.com

www.nicovideo.jp

*2:

www.nicovideo.jp

 

なお、オンレイさんも2017年に亡くなられています。流れを優先し、脚注で申し訳ありませんがここに残しておきます。お悔やみ申し上げます。